ミラノサローネで見つけた“豊かな暮らし”のヒント

4月、イタリア・ミラノで開催された世界最大級のデザインイベント「ミラノサローネ」を建築事業部KAJADESIGNのスタッフと共に視察してきました。
ミラノサローネは毎年、世界中からデザイナーや建築関係者が集まり、家具やキッチン、照明、建材など、最先端の空間デザインが発表されるイベントです。

サローネ期間中のミラノは、街全体がデザインに包まれます。
巨大な展示会場「フィエラ」で多くのブランドが出展する一方で、あえて会場には出展せず、ミラノ市街の歴史的建築やショップ、ギャラリーを使って独自の展示を行うブランドも数多く存在します。

普段は静かな建物の中に、美しいインテリア空間が突然現れたり、古い邸宅や中庭が期間限定の展示空間になっていたりと、街全体がひとつの展示会場のような特別な空気に包まれていました。

今回の視察を通して特に印象的だったのは、単に新作を発表するだけではなく、そのブランドらしい“暮らしの世界観”まで体験できるように演出されていたことです。

家具単体を見せるのではなく、素材の組み合わせ、空間の余白まで含めて、ひとつの世界観として提案されていました。

そして今回、多くのブランドに共通して感じたのが、「素材そのものの美しさ」や「空間の心地よさ」を大切にする流れです。
会場では、天然石や木、ラタン、レザーなど、自然素材を活かした空間が数多く見られました。

例えば天然石は、以前のような白く高級感の強いものだけではなく、グリーンやベージュなど、自然の景色になじむ柔らかな色合いが印象的でした。
同じ模様がひとつとして存在しない天然石は、それ自体が一点もの。均一な美しさではなく、“自然がつくる個性”を楽しむ価値観へと変化しているように感じました。

また、ラタンやレザーなど、使い込むほど風合いが増していく素材も多く使われていました。

新品の状態が完成ではなく、時間とともに変化し、暮らしに馴染んでいく。その“経年変化”まで含めてデザインする考え方は、とても印象的でした。

AIやSNSによって、世界中で同じような情報やデザインを目にする時代だからこそ、“本物の素材感”や“その場でしか味わえない空気感”に、改めて価値が集まっているのかもしれません。

実際にその空間に立ったときに感じる光や空気、素材の質感、静けさ。そうした感覚は、写真だけでは伝わらない魅力がありました。
今回のミラノ出張を通して改めて感じたのは、「豊かな暮らし」とは、豪華さだけではないということです。

自然素材に触れたときの安心感。
光や風を感じる心地よさ。
時間とともに味わいを増していく家具や空間。
そうした日々の積み重ねが、暮らしの豊かさにつながっていくのだと思います。
KAJAでも、自然とのつながりや素材の温度感を大切にしながら、暮らすほどに愛着が深まる家具を、これからもご提案していきたいと思います。

次回は、ギリシャのリゾートホテル「AMANZOE」で体感した、“静かなラグジュアリー”についてお届けします。