前回に引き続きミラノサローネのお話です。
今回の視察で特に印象的だったブランドが、paola lenti(パオラレンティ)
グラフィックデザイナー出身のpaola lentiがミラノに創設したファニチャーメーカーです。
中でもアウトドアファニチャーを得意とし、その独創的な配色の美しさは「色の魔術師」と称されています。
ミラノサローネでは常連のブランドで、実はKAJAでもKAJA DESIGNでも今まで視察にいったほとんどのスタッフが魅了されて帰ってくるのです。
paola lentiの展示は、メイン会場から少し離れたミラノ郊外で行われました。
それでも会場内は多くの人で賑わいを見せます。
そこは鮮やかな色彩の家具が次々と目に飛び込んでくるようで、家具のショールームというよりはどこかのテーマパークにいるようなワクワク感がありました。
それはアート作品のようであり、そのバランスが絶妙です。
特に印象に残っているのが、日本の佐藤オオキさんが率いるデザインオフィスnendoとのコラボアイテム、ファブリックの端材を使って作られた「花嵐 Hana-Arashi 」です。
新たな資源の消費を最小限に抑え、最大限に再利用するというpaola lentiの哲学を反映したインスタレーションでした。
エントランスからこの展示を通り抜けるように進むレイアウトで、インパクトを持って飾られていました。
会場内では現地のスタッフから直接話を伺うことができました。
鮮やかな配色に注目がいきがちなpaola lentiですが、その素材選びやデザインには自然に対する深い敬意を持っているとのことです。
天然資源を保護し廃材を減らす考え方に沿ってもの作りをしていること。
実際にショールームには多年草を植え、季節の移り変わりやそこから得る絶え間ないインスピレーションを感じとって製作に活かしているそうです。
色選びに関しても自然の中のもの(果物なども)から着想を得ているとのことです。
だからこそ、paola lentiは鮮やかでビビットな印象を与えつつ、なぜか周りの風景に馴染み、不自然ではない空間を作れるのだなと思いました。
この人々にとっての心地よさは、結局自然の中に見いだせるという考えは、自然豊かな地に広がるリゾートと同じようでKAJAにも通じるものがあります。
自然からのインスピレーションをうまく現代的にアレンジして表現する、その姿勢と工夫は大いに見習いたく、私たちのもの作りのヒントとして役立てていきたいと強く思いました。
人々を惹きつける魅力には、やはりそのデザインのみならず、自然を取り入れた心地よさとリアリティ、それらが活きる色と素材の選び方、全体の調和とすべてが整って生まれるものだと改めて感じました。
これらがすべて揃うことで、インテリアでもここまで多くの人を惹きつけるブランドの世界観を生み出せるのだなと思います。
ミラノサローネで見た多くのブランド、ひとつひとつの商品のみならずその展示方法までたくさんの学びがありました。
この経験をこれからのKAJAのもの作りに、少しずつでも取り入れていきたいと思っています。