こんにちは。
調布店勤務の家具バイヤー岡田です。
前回に引き続き、ジャワ島での出張エピソードをご紹介します。
今回は、1990年創業の老舗家具メーカーCHISTA(チスタ)を視察したお話です。
CHISTAの家具は、チークの古材にインドネシアの伝統的な彫刻をあしらったレリーフ(浮き彫り)が特徴。
100人規模の社員を抱え、ジャワ島の家具メーカーの中でも安定企業とされています。
お給料が良いのか(笑)、ここには腕の良い職人さんがたくさんいます!
欧米の目利きのバイヤーからの信頼も厚く、KAJAでも10年前からCHISTAの商品を扱っています。
CHISTAの技術にKAJAらしさをプラスしたオリジナル家具は、世界に二つとないいわゆる“1点もの”。
自信を持ってオススメできる、KAJAのフラッグシップ商品でもあります。
CHISTAの家具の魅力は、すべてハンドメイドで仕上げた精巧な造りと、熟練職人の技術を注ぎ込んだ美しいレリーフ。
そのモチーフの多くはインドネシアの植物です。
味わいのある古材に施された植物模様の浮き彫りは、光の加減によって様々な表情を楽しむことができます。
飽きのこないナチュラルさと気品を兼ね備えたこの家具が一つあるだけで、空間が不思議とグレードアップ。
さらにコーディネートもしやすい!(笑)
CHISTAは、家具の優等生なんです。
そんな美しい家具の数々が、広ーい倉庫に所狭しと並ぶCHISTAの工房を訪ねました。
今回の視察の目的は、以前オーダーしたダイニングテーブルの仕上がり状態の確認と、コンソールテーブルのオーダー。
コンソールテーブルについては、秋からの主力商品の一つにしたいという期待も。
コンソールテーブルとは、小型机のことです。
玄関やリビングにさりげなく置くだけで、ぐっとセンスを感じさせる空間になるキーアイテムなんです。
CHISTAの工房に足を踏み入れると、職人さんが、分業で任された作業に黙々と取り組んでいました。
人気メーカーだけに、納品に追われているのでしょう。
余計なおしゃべりなど皆無で、カメラを向けても、照れる仕草や笑顔もありません。(汗)
のんびりしているのは、作業場の片隅で寝ていた子猫だけ。
どこか緊張感が漂う作業場を後にして向かったのは、薄暗く、とにかくだだっ広い場所。
電気の供給が安定しないジャワ島では、人気がない部屋の照明は使う時だけ点ける習慣があります。
照明が灯るとようやくその場の様子がわかりました。
天井は見上げるほど高く、広さは200㎡はありそう。
そんな空間に、タンスやらテーブルやら椅子やら、あらゆる家具がびっしりと並んでいます。
ここは倉庫とショウルームを兼ねたスペースで、
「この家具をベースに、レリーフはこちらのものを合わせて…」
など、実際のサンプルを見ながらオリジナルの家具をオーダーできます。
メーカーのカタログ代わりと言ってもいいでしょう。
レリーフだけでも数え切れないデザインパターンがあり、そのすべてに目を通すには数時間かかります。
こんな時に注意したいのが“現地マジック”。
これは、いろいろ見ているうちに、現地のデザインに目が慣れてきてしまい、よりデコラティブなものや、KAJAらしくないデザインに思わず目が奪われてしまう…というもの。
そんな危険な現地マジックに陥りそうな時は、KAJAが提案するリゾートスタイルの部屋を強くイメージ。
そして、目にしたデザインをそこに当てはめていく作業を頭の中でひたすら繰り返します。
「現地の雰囲気と、目の前のデザインの吸引力」 VS 「KAJAスタイルの追求」。
そんな鬩ぎ合いを制しながら買い付けに挑んでいます。
カタログ代わりのスペースに数時間居座り、コンソールテーブルに関連する膨大なサンプルチェックが完了。
シンプルなお部屋に馴染むデザインを選び、日本の部屋に合う大きさへリサイズをお願いして、CHISTAを後にしました。
9月には、KAJAオリジナル仕様のコンソールテーブルを各店舗でご覧いただけます。
さて、今回の出張で、もう1件寄りたい場所がありました。
それは、CHISTAと同じように、チークの古材を使った1点ものを得意としている、新規開拓中のメーカーです。
実は、以前インドネシアで開催された家具見本市で目をつけ、ダイニングテーブルのサンプルを作ってもらっていたのです。
そのテーブルは、すでに日本の店舗にあり、打ち合わせ用のテーブルとして使用しています。
ただ使っているわけではなく、木が乾燥して変形しないか、ぐらつきはないか、表面は荒れていないかなど、スタッフが身を持って使用感を検証しています。
なので、まだこのメーカーの商品を扱うと決めたわけではなく、“お試し期間中”というわけです。
新規メーカーを開拓する時は、常にこのような手順を踏みます。
今回の視察もそのルーティンの一つ。
現地の工房を視察し、どんな職人がどのような工程で家具づくりに取り組んでいるのか確認し、パートナーシップを結ぶメーカーとしてふさわしいか総合的に判断します。
そのため、新しい取り引きメーカーの決定や、新商品の商品化には、1年以上要することも。
バイヤーとしては、良い家具を見つけたらすぐに販売したくてウズウズするものですが、お客様に長く使っていただくことを思うと、時間をかけて一つ一つ不安要素をクリアしないことには、心配でたまりません。
さて、まだできて数年という新規メーカーの工房を訪ねてみると…。
なるほど、若い職人が多い!
そして、CHISTAと比較すると、それはそれは小さな工房です。
でも、家具づくりの技術はなかなかのもの。
もしKAJAで商品を扱うことになれば、CHISTAと同じようなスタイルの家具をお手頃な金額で、お客様に提供することができそうです。
チーク材の高騰などで、家具の仕入価格もジワジワ値上がりしている今、メーカーの新規開拓にも力を注がなくては!
日本で使っているこのメーカーのサンプル用テーブルは、今のところ問題なし。
でも、もう半年はトラブルがないか様子を見るつもりです。
そして、今回の視察も含め、パートナーシップを結べるかどうか、しっかり見極めたいと思います。
次回のエッセイは、インドネシア産チーク材の魅力と、世界的に入手困難な天然チーク材の現状についてお伝えしたいと思います。
特にチーク材の家具をお探しの方はお見逃しなく!