調布店勤務のバイヤー和田です。
KAJAではインドネシアで買い付けた商品を取り扱っていますが、店頭でお客様におすすめする際に、その商品の魅力を現地の空気感や文化とともにお伝えすることを心がけています。
今回は、店頭に並ぶ商品をいくつかピックアップし、そこから感じ取れるインドネシア特有の文化のエッセンスをご紹介します。
インドネシアに出向くと、現地でしか見られない個性的なデザインのオブジェやレリーフをたくさん見る機会があり、そのいくつかは実際に買い付けます。
ハッとするような独特な佇まいのアイテムこそ、印象的なお部屋づくりのアクセントとして大活躍してくれるものです。
インドネシアでの買い付けを重ねるうちにわかってきたのが、レリーフやオブジェに刻み込まれた模様には、様々な意味が込められているということ。
特に今回は、トラジャ族の手で作られたレリーフについてご紹介します。
「トラジャ」と言えば、コーヒー豆の産地としてご存知の方も多いのではないでしょうか?
トラジャ族はスラウェシ島の山間地帯に住むマレー系の先住少数民族で、その一帯には、土着のアニミズムが色濃く残っています。
レリーフやオブジェのデザインに溶け込んだ模様の一つ一つには名称があり、トラジャ族の人々の願いとも理想とも言える意味合いが込められています。
実は、先日のインドネシア出張で、トラジャ族の模様が何を意味するのか具体的に記された本に、思いがけず出会うことができました。
中には、買い付けをしていてよく目にする模様も!
KAJAの解釈を含め、その一部を翻訳しましたのでご紹介します。
「#1 PAQTANGKE LUMUQ」
柄の名称にあるTANGKEは枝状のもの、LUMUQは海藻のこと。
この柄は海中に生き茂る海藻を連想させ、転じてそれらが茂る様は広大な田園、つまり豊作を連想させます。また海藻が絡まる様子は人々の絆も表現しています。
こうした個々の意味合いから「その硬い絆によって家族を平和な暮らしに導いてほしい」という願いが込められています。
「#2 PAQBOMBO UAI」
BOMBOは、トラジャ語で”死にゆくものの魂”という意味ですが、この模様の中では、BOMBOは動物、UAIは水という意味を持ちます。
おそらく島の主な糧は漁猟であったことから、水中の生き物の中には動きが速いものがいるため、「生きるためには早く、正確にいい結果をもたらさなければならない。」といった教えが、この模様から感じ取ることができます。
良い結果を得るための教訓でもあり、その柄の名称からは、生きるための摂理を感じ取ることもできます。
「#3 PAOBOKOQ KOMBA KALUAQ」
BOKOQ は後ろ、KOMBAはブレスレット、KALUAQは広いとか大きいことを指し、PAOBOKOQ KOMBA KALUAQは、金のビーズで作られたブレスレットという意味になります。
トラジャでは、金のビーズのブレスレットは非常に価値のある工芸品で、そうしたことから、この柄は「トラジャの人々の壮大な力と崇高さのシンボル」として、雑貨や家具のデザインに用いられています。
この柄については、名称がわからずはっきりとした意味もわかりませんが、動物の耳を模してデザインされたものなのだとか。
動物にとって耳は重要な感覚器官であり、「”聞く事”とは、その人の人生にとって、良い事も悪い事をもたらす」という教えが込められているようです。
先にご紹介した模様がデザインに取り入れられているレリーフを見つけました。
センターと外側の周囲に刻まれた模様が、♯1の柄に似ています。
こうした伝統的な模様を施した存在感のある大きなレリーフは、開放的な空間に絵画のようにシンプルに飾るだけで、お部屋がアートな空間へとランクアップします。
こちらも同じく♯1の柄を用いたと思われるレリーフです。
同じ模様でも、彫り方や他の模様との合わせ方次第で、違った表情に見えます。
そうした手仕事のぬくもりを感じながら、作られた時代や彫刻した職人を想像して楽しめるのが、ハンドメイド雑貨の醍醐味とも言えます。
脈々と受け継がれてきた模様から、インドネシアの暮らしぶりや文化を感じることができる味わい深いレリーフやオブジェ。
どこか物足りないと感じるお部屋に、異国のエッセンスをほんの少しプラスすることで、シンプルなお部屋の雰囲気がグッと高まることも。
KAJA各店には、そんな個性あふれるアイテムがインドネシアから数多く入荷しています。
1点だけしかないものもありますので、ぜひ、お気に入りを探しに来てください。
スタッフ一堂、心よりお待ちしております。
次回のエッセイでは、インドネシアで縫製を請け負う女性集団ibuibu factory(イブイブファクトリー)をご紹介いたします。
ご期待ください!