バイヤーの岡田です。
今回は、先日のジャワ島での買い付けで立ち寄った、裁縫を請け負う女性グループ「イブイブファクトリー」という工房についてご紹介します。
「イブイブファクトリー」は、2010年にKAJAの初代のバイヤーが中心となり、現地の女性6名と立ち上げた、小さな生産グループです。
年季の入った2台のミシンか並ぶガレージが彼女たちの作業場。住居と工房を兼ねたミニマムな空間からKAJAのオリジナル製品を始め、素朴であたたかみのある布製品が誕生しているのです。
発足のきっかけは、バイヤーと裁縫が得意なWiwinとButetという朗らかな二人の女性との出会い。
実は二人とも足にハンディキャップがあり、Wiwin は両足が、Butetは片足がありません。
当時のインドネシアは、女性が公平な収入を得られる仕事に就くのが難しく、障害を持つ人が働くのは、より困難な状況でした。
そんな状況の中でも真摯にものづくりに向き合う姿勢に刺激を受けたバイヤーはその技術を何かに活かせないかと、WiwinとButet、その他数名の女性とともに、女性だけの縫製工房「イブイブファクトリー」を設立したのです。
当初は、バティックで作られた動物のぬいぐるみや、KAJAオリジナルの刺繍を施したクッションカバーの縫製を「イブイブファクトリー」にお願いしていました。
バティックとは、ろうけつ染めと呼ばれる手法で作られた布のことで、インドネシアの伝統工芸品のひとつです。
木綿や絹の生地を使い、染色しないところをロウで描いて染め分け、繊細な図柄を表現していきます。
しかし刺繍の上手だったButetが仕事を続けられなくなり、「イブイブファクトリー」の商品数は減少していくことになりました。
レギャンソファというソファのカバーリングもお願いしていたのですが、仕様変更した際に製作工場が変わり、カバーリングだけ別納品ができなくなったことからオーダーを打ち切ることになりました。
「イブイブファクトリー」の製作スピードがどうしてもスローペースになってしまうため、納期に間に合わないことも、取引が続かなくなってしまった理由の一つでした。
商業的視点を重視し、期待しすぎていた部分も否めません
KAJAとの取引が減少した後も、「イブイブファクトリー」は生きていくために近所の知り合いの服を修理したり、自宅で作ったスナック菓子を手売りしたりして細々と生計を立てていたそうです。
さまざまな事情で設立当初のメンバーも数人がグループから去り、以前のような活気もなくなってしまいました。
僕たちバイヤーは、共にものづくりをしていた仲間として、彼女たちのことが気がかりでなりませんでした。
そして、“せっかく築いた関係性をこのまま終わらせてしまってはいけない”という思いから、「イブイブファクトリー」とまた一緒に仕事をすることができないか、今までとは違ったアングルから模索してみることにしたのです。
その結果、KAJAの母体である大熊工業の土木事業部で使用する作業着の縫製や建築事業部でのプロダクトの依頼を検討することになりました。
自社の消耗品なので、今後、定期的にオーダーすることも可能です。
そして、今回の出張では、KAJAの新しいオリジナル商品の製作を再びお願いすることもできました。
訪問した際に、Wiwinの手作りのお菓子をKAJAスタッフのお土産に買って帰ったところ大好評で、「おいしい!」 とみんな夢中で頬張っていました。
ハンディがありながらも、どんなに過酷な状況でも前向きで一所懸命取り組む彼女たち。
そんな姿を見ると、逆にこちらが元気をもえることも。
そんな彼女たちの手で作られた商品をまたお客様にお披露目できる日が待ち遠しいです。
そしてまた一緒にものづくりができることが楽しみでなりません。
「イブイブファクトリー」の新商品は、次回のエッセイで詳しく紹介しますので、どうぞお楽しみに!
<「イブイブファクトリー」ページがリニューアル!>
https://www.kaja.co.jp/ibuibu/
ぜひ、チェックしてくださいね!