はじめまして。
吉祥寺本店に勤務するスタイリストの榎本です。
今回は、私が買い付けに研修として同行した際に出会った「バティック(Batik)」の魅力についてご紹介したいと思います。
バティックは、ろうけつ染めという伝統的染色方法で図柄を表現した布地で、インドネシア、マレーシアをはじめ、インド、スリランカ、イラン、タイなどの特産品として知られています。
ろうけつ染めは、木綿や絹の生地を使い、染色しないところにロウを置く(ロウ伏せ)ことで、図柄を浮かび上がらせたり、色分けをしたりして、細やかな模様を描いています。
中でもインドネシアのジャワ島で作られる繊細な模様のバティックは人気が高く、「ジャワ更紗」と称され親しまれています。
KAJAでは、ジャワ更紗をはじめ、インドネシアのバティックのクッションなどを販売しています。
16世紀頃からヨーロッパの影響を受けながらも、インドネシアは独自の文化を発展させ、染色技術においても、精神文化、宗教の継承と繋がりを持たせながら、伝統的技法と染色文化を確立させました。
そうした中で、インドネシアのバティック制作の技術が向上し、手描き、型押しスタンプ、シルクスクリーンプリントなど、さまざまなスタイルの製法で作られるようになりました。
中でも手描きバティックは、大量生産、大量消費の現代において大変貴重な製品。
2009年にはユネスコの世界無形文化遺産にも認定され、インドネシアが育んだ文化として改めてバティックに注目が集まりました。
そして、それぞれの製法によりその魅力にも違いがあるようです。
図柄によっては数ヶ月を要するという手描きバティック。
ロウの温度を調整しながら、下書きした生地の防染したい部分にロウ伏せしていくのですが、チャンチンといわれる道具を使って、細かい線をロウで一本一本描いていきます。
染色してロウを落とすとそこに地色が残り、描いた模様が鮮明に現れます。
この工程を色の数だけ行い、水洗いを繰り返すことで図柄が完成。
こうしてようやく一枚の美しいバティックが誕生するのです。
すべて手描きなので、複雑なデザインになればより高額に!
気が遠くなるような工程を経て完成した手描きバティックには、インドネシアの美意識真髄と職人の温もりを感じ取ることができます。
一方、型押しによるバティックは、チャップという銅製のスタンプを使用して、ロウを布に移すことによって図柄を表現していきます。
なかなかの力仕事なので、スタンプ職人のほとんどが男性。
いとも簡単にスタンプを押していくので単純な作業に見えますが、スタンプの境目をきれいに合わせて連続模様に仕上げるためには、熟練の技を要します。
染めを繰り返して色を重ねていく工程は手描きバティックと同じですが、スタンプで絵柄を描いていくので手描きに比べて製作時間は短く、比較的安価で買うことができます。
型押しで仕上げた生地一面に繰り返される美しいパターン。
プリント生地にはない、ハンドメイドならではの味わいを楽しむことができます。
手描き、型押しの魅力はそれぞれですが、どちらのバティックで作ったアイテムも、印象的な空間づくりのアクセントになってくれることは間違いありません。
KAJAでは、さまざまなスタイルのインテリアにバティックを取り入れたコーディネートのご提案を、これからも積極的にしていきたいと思います。
さて、次回は、インドネシアのバティック工房で、手描きバティックの製作体験をした時の様子をお届けいたします。
どうぞ、お楽しみに!